泌尿器科

第34回日本泌尿器医学功労賞を受賞して   

2025年4月16日

 1978年に京都大学を卒業し、泌尿器科に入局して約47年になります。入学当初から外科以外は頭になく、勉強は医者になってからと、学生時代はヨットと麻雀に明け暮れていました。卒業間際に幾つかの外科系診療科の先輩からの誘いを断り切れず、結局あみだくじで泌尿器科に決めました。

 入局して最初の幸運は、荒井陽一先生、松田公志先生と一緒だった事です。京大病院での1年の研修の間、手術の後は毎回遅くまで頭を突き合わせ、何冊もの解剖書、手術書を持ち寄り見比べながら沢山の手術の絵を描きました。手術書の図や記述の誤魔化しに気付くことも稀ではなく、この作業は大きな財産となり、のちの腹腔鏡手術における外側円錐筋膜、癒合筋膜の認識と理解につながりました。

 1年の研修ののち8年9ヶ月倉敷中央病院に勤務しましたが、京都大に戻るに当たり全く基礎研究の経験のない私が米国Cleveland Clinic Foundation (CCF)への留学の機会を頂いたことは、次なる幸運となりました。本音を言うと当初は「清水の舞台から・・・」の心境でしたが、「飛び降りる」というよりむしろ「突き落とされる」ように米国に渡りました。CCFのUrology Dept. から預けられたImmunology Lab. のボスがPresident of CCF Golf Leagueだったことは、まさに天恵というべき幸運でした。「ええい、ままよ!」とキャディバッグを担いで飛行機に乗ったことがおまけの幸運をもたらしてくれたのでしょうか。何事も飛び込んでみるものですね。お陰様で研究もなんとか成果を得、また、日本では考えられないような家族との時間やゴルフを十分に楽しむことが出来ました。

 1990年帰国直後の夏、のちのJUA教育ワークショップの前身となる比叡山カンファレンスが、我がボス吉田修理事長の発案で開催されました。この時荒井、松田、寺地の3人が3つのグループの書記をそれぞれ担当しましたが、当時の、或いは後のトップリーダーの方々、故町田豊平先生、故熊澤浄一先生、小柳知彦先生、三木誠先生、村井 勝先生、東原英二先生、大島伸一先生、故馬場志郎先生、平尾佳彦先生、内藤誠二先生といった方々の知己を得る幸運な機会となりました。

 翌1991年名古屋大学の故小野佳成先生や関西医大に移られた松田先生と共に腹腔鏡下腎摘除術を開始し、その後の泌尿器腹腔鏡手術の術式ならびに技術認定制度の確立に遮二無二奔走できたことは、最も大きな幸運でした。さらに1999年には小川 修先生の声掛けで、京都大でわが国最初の腹腔鏡下前立腺全摘除術を行うことも出来ました。またその後2002年に東海大学に移る際には、東原英二先生、大島伸一先生のお口添え、並びに当時の東海大医学部長黒川清先生の大きなお力添えを頂きました。

 このように多くの素晴らしい先生方の導きと支えを享受出来たこと、また開放手術から腹腔鏡手術、さらにロボット支援手術への転換という泌尿器科手術の進歩の真っ只中に身を置き続けることが出来たことは、泌尿器科2本を含む6つの診療科での7本のあみだくじから、迷って2本引いてしまった2本がともに泌尿器科だった、47年前のくじのお陰と思わずにはいられません。

 限られたスペースでお名前を挙げることはできませんが、京都大や東海大の仲間はもちろん、これまでお世話になった多くの先生方や周りのスタッフの方々、またいつも無理を聞いてくれていた家族に心から感謝しています。

 ありがとうございました。

寺地敏郎

寺地敏郎副院長(左)
江藤正敏日本泌尿器科学会理事長(右)

 寺地敏郎副院長(専門:泌尿器科)が、米国ベストドクターズ社より医師同士の評価によって選ばれる「The Best Doctors in Japan2024-2025」に選出されました。2002年から連続での選出です。
 ベストドクターズ社は米国に本拠を置き、世界各国で病状に応じた適切な治療やセカンドオピニオン取得のための名医紹介などを行っている会社です。
 ベストドクターズ社の名医選出方法は、膨大な数の医師を対象に「もしあなたの家族が、あなたの専門分野の病気にかかった時、治療をどの医師にお願いしますか?」とアンケート調査をし、その中で治療能力、研究結果、最新医療情報への精通度などを考慮した上で、ある一定以上の評価を得た医師を名医(Best Doctors)と認定するというものです。2024年6月現在、世界で約53,000名、日本では約7,100名の医師が認定されています。

泌尿器科について

 泌尿器科は、尿を生成する腎臓、尿を体外に排出する尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿 道)と男性生殖器(精巣、前立腺、陰茎など)を扱う外科系専門診療科の一つです。これらの臓器に発症する疾患(がん、炎症、感染、結石、外傷、先天異常など)の診断、治療から、経過観察まで一貫して行うトータルケアを特徴としています。

 超高齢社会となった現在、前立腺疾患(肥大症、がん)、頻尿や尿失禁などの排尿に関する異常を訴えられる高齢者が、男女を問わず急増しています。また、超音波エコー、CT、MRIなど画像診断技術の向上もあって、膀胱がん、腎がん、副腎腫瘍も増加傾向が続いています。青壮年層では、尿路結石症や男性不妊などのほか、稀ではありますが、放置すれば死にいたる精巣がんもあります。
 また尿路生殖器は、先天性の水腎症、停留精巣、包茎など先天異常が多い臓器であり、夜尿症も含めた小児疾患も重要な分野となっています。さらに、近年では骨盤内臓器脱(POP)や腹圧性尿失禁などの女性泌尿器科疾患も多く診るようになっています。
 当科の基本方針は、泌尿器科領域の疾患を的確に診断し、一般的疾患(common disease)に対しては、しっかりと治療を行い、患者さんのニーズに応えることにあります。しかも、できるだけ患者さんに身体的ご負担をかけないように、経尿道的手術や腹腔鏡手術など最小侵襲治療(MIT: minimally invasive therapy)を選択します。より高度な治療を要するような場合には、関連施設である滋賀医科大学ほか高度先進医療施設に紹介いたします。

泌尿器科

副院長 寺地 敏郎

京都大学医学部卒業
日本泌尿器科学会専門医・指導医
泌尿器腹腔鏡技術認定取得医
日本内視鏡外科学会腹腔鏡技術認定取得医
泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医
日本内分泌外科学会専門医

 

医長 出口 真央

(編集中)

医師 沖中 勇輝

(編集中)

医師 菊井 亮輔

(編集中)

【外来】

常勤医師2名と非常勤医師2名で診療を行っています。午後は、膀胱鏡検査、ダブルJカテーテル交換などの検査や処置を行っています。
手術は、金曜日の午後に行い、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、木曜日または金曜日午前に行っています。

曜日
午前寺地 敏郎菊井 亮輔出口 真央沖中 勇輝出口 真央
午後検査検査検査

受付時間
(診療時間:9:00~12:00)

8:00〜11:308:00〜11:308:00〜11:308:00〜11:308:00〜11:30
前立腺肥大に対するTURP
同 内視鏡写真

【手術】

曜日
午前ESWLESWL
午後手術

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

当院では尿路結石に対してESWLを導入しており、現在はエダップ社製 ソノリス・プラクティスを運用しております。80%以上の患者さんにはESWL単独で治療が可能となります。
腎・尿管 体外衝撃波結石破砕装置による体内結石破砕治療

ESWL施術の様子