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アトピー性皮膚炎の患者さん、とくに重症化した患者さんがこの数十年の間に著しく増えています。野洲病院皮膚科ではアトピー性皮膚炎の治療取り組んでいます。この皮膚病で悩んでいる多くの患者さんが受診していますが、患者さんたちは「いろいろな病院で治療を受け、またアトピーに効くという漢方や民問療法も続けてみたが、皮膚炎はよくならない」と訴えます。 なぜよくならないのか。その原因について調べた結果、重症患者の約90%は・生活指導に誤りがあり、また・不適切な治療を続けていることがわかりました。  そこで、アトピー性皮膚炎の患者さんが日常の生活で注意すべき項目について、そして治療法の基本について説明します。




 皮膚のよごれ(アセ、アカ、フケなど)はかゆみを強くし、アトピー性皮膚炎を悪化させます。なるべく毎日入浴し、普通 の石けんをタオルにたっぷりつけて、全身をよく洗うことが大切です。皮膚炎を起こしている部分のカサブタや外用薬の残りも洗いおとします。アトピー用の石けん(低刺激性の石けん、弱酸性の石けんなど)は刺激は少ないのですが、洗浄力が劣っています。長い間使い続けていると、皮膚によこれが残り全身にかゆみがひどくなります。

 「アトピー性皮膚炎患者の皮膚は生れつき乾燥肌である」という説は誤りです。皮膚炎があるために、乾燥皮膚になっているのです。皮膚炎が治れば、普通 のスベスベ皮膚にもどります。入浴後に保湿剤を全身に塗る習慣は止めてください。保湿剤は、長い間使用しているとカブレ(接触皮膚炎)を起こし、全身が赤くなって、かゆくなります。 ただし、魚鱗癬(サメハダ)を合併している患者さん(アトピー性皮膚炎患者の約15%)は、冬になると全身が乾燥しますので、冬の間は保湿剤を使用してください。

  日常の食物(牛乳・卵・大豆・小麦・米など)の血液アレルギー検査(RAST法)を行なうと、アトピー性皮膚炎患者さんの約半数(40〜60%)で陽性に出ます。しかし、血液アレルギー検査陽性の食物を実際に食べさせてみると、皮膚炎が悪化するのはこく少数(1%以下)です。血液アレルギー検査でアトピー性皮膚炎の原因を決めることはできません。日常の食物は、血液検査が陽性に出たものでも、自由に食べて下さい。ただし、治療しても皮膚炎がよくならない場合、あるいはよくなってもすぐ再発する場合には、食物や飲物の影響を除去・投与テストで調べる必要がありますので、専門医に相談してください。

 ダニの血液アレルギー検査は、食物の場合と同様に、アトピー性皮膚炎患者さんの約半数で陽性に出ます。しかし、室内のダニが皮膚炎を悪化させることはほとんどありません。アトピー性皮膚炎患者さんには防ダニ対策(じゅうたん・タタミの除去、防ダニふとんなど)は必要がないのです。普通 の部屋で普通に生活してください。

 アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚をイソジン液や強酸性水で消毒する方法が一部の医師の間で行なわれています。しかし、この消毒法は治療にまったく役立ちません。イソジンは細胞毒です。これを皮膚の広い範囲に塗り続けるのは危険です。またイソジンを皮膚に長期使用してし、ると、カブレを起こし皮膚炎が悪化します。

 深夜勉強、夜間勤務などで睡眠不足、疲労が続くとアトピー性皮膚炎は悪化します。また精神的なストレスも長く続くと皮膚炎を悪化させます。「昼は起き、夜は寝る」生活のリズムを保ち、ストレスのたまらない生活環境を作ることが大切です。




 アトピー性皮膚炎の外用薬としては、ステロイド外用薬がもっともすぐれた効果 を発揮します。入浴直後に、皮膚炎の起きている部分にうすくのばして、すり込みます。1日1回の使用で皮膚炎がよくなったら、塗る回数を2日に1回、3日に1回と減らしていきます。 なお、1日1回の使用で皮膚炎がよくならない場合には、その薬は自分には合っていないと考え、ほかの薬にかえてもらいましょう。

 ステロイド外用薬は正しく使えば副作用はほとんど起こしません。しかし、長期間ステロイド外用薬を漫然と使い続けていると、多毛(毛深くなる)、皮膚萎縮(皮膚がうすくなる)、ニキビなどの副作用が出てきます。 ステロイドの副作用は、強いステロイドでも弱いステロイドでも起こります。「弱いステロイドは安全」と考えてはいけません。成人患者の顔に弱いステロイドを塗り続けていると、ステロイド顔面 紅斑(赤い顔)になることがあります。
 なお、ステロイドの副作用は、ステロイドの使用を中止して、適切な治療を行なえば治ります。

 最近、発売された新しい外用薬で、ステロイドとはちがう免疫抑制剤の外用薬です。顔面の皮膚炎、とくにステロイド顔面紅斑に有効です。副作用はステロイド外用薬に比べて少ないのですが、専門医の指導が必要ですので、必ず受診指導を受けながら使用してください。

 アトピー性皮膚炎の内服薬には抗ヒスタミン剤あるいは抗アレルギー剤を使います。眠気などの副作用が出ることがありますので、自分に適した内服薬を主治医と相談して決めてください。

  アトピー性皮膚炎が重症化すると、年齢に関係なく、患者さんの15〜20%に白内障(アトピ性白内障)が出てきます。重症の患者さんにはステロイド短期内服を併用して、なるべく早く皮膚炎を軽症レベルにコントロールします。皮膚炎が中等症〜重症である患者さんは、定期的に(年に数回)、眼科で白内瞳の検査を受けてください。





  以上の治療でなかなかよくならい場合、あるいはよくなっても再発を繰り返す場合には、専門医で悪化原因の検査を受けてください。外的な悪化原因はパッチテスト・光パッチテストで調べ、内的な悪化原因は除去・投与テストで調べます。悪化原因を見つけて除去すれば、皮膚炎は普通 の治療でよくなっていきます。



野洲病院皮膚科 治療には信頼のおける皮膚科の専門医を選び、必ず治ることを信じて正しい治療を受けることが大切です。野洲病院の皮膚科では、アトピー性皮膚炎の専門的な治療に取り組み、高い成果 を挙げています。
現在は上原正巳医師が中心になって専門的な外来診療を行なっています。


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